こんばんは。 今日は最近読んで面白かった本を紹介したいと思います。

経営学を学ぶ中で、組織やチームのモチベーションを高め、 メンバーにやる気になってもらうことは重要性だと感じています。 ただ「やる気を出して!」と伝えるだけでは十分ではありません。 難しいですね。そこには伝え方の工夫が必要です。

今回は心理学な観点からではなく、言語学的な観点から、 その「伝え方」を学べる興味深い本でした。

言葉の曖昧さ―「言葉の黄身」と「言葉の白身」

例えば、「嫌い」という単語を考えてみましょう。 この言葉の中心(黄身)には「拒否や否定」という明確な核があります。 しかし、その周囲(白身)には、「本当はかまってほしい」、「傷つきたくない」、「実は好きなんです」といった複雑で繊細な感情が漂っています。 この曖昧さこそが、言葉が持つ深い本質であり、私たちが無意識のうちに感じる「場の空気」を形成しています。

言葉が持つ「含み」の大切さ

言葉の使い方には含みがあります。 「そろそろ起きたらどう?」という言葉と、 「起きろ!」という直接的な言葉の違いは何でしょうか。

前者には「起きないと困ったことにならないか?」という相手への心配や気遣いが含まれています。言葉はぶどうの房のように、中心の核だけでなくその周囲にもたくさんの意味や含みを持ち、相手との関係性や場面に応じて適切に選ぶ必要があるのです。

意味が伝わる時、伝わらない時

コミュニケーションにおいて意味がうまく伝わらない場合、それは解像度が低く、相手の状況や感覚にピントが合っていないためかもしれません。 また、相手が伝えたい概念に対して敏感でない場合もあります。 一方、意味が明確に伝わるときというのは、相手と共に物語や概念を共有し、構築できている状態です。

つまり重要なのは言葉により「相手の心の中に概念を成立させる」ことなのです。自分と同じように、相手の心の中にも概念が成立できたときに、コミュニケーションが成り立つのだと理解しました。

「当事者以外立ち入り禁止」の境界を超えていく言葉

私たちは時に「どうせわかってもらえない」と感じることもありますが、言葉は「当事者以外立ち入り禁止」の境界を超えて相手の心に届く可能性を秘めています。伝わらない原因を単に「共感力」の問題にしてしまうのではなく、言葉の微妙な「イメージのズレ」を丁寧に修正していく努力が必要です。なぜならそれを怠ると、相手の心に正しく概念を成立させることが難しくなり、その結果、誤解が生まれるとのことです。

言葉は社会のインフラ

人間の社会的存在を可能にするのが言語です。

例えば、少し焦げた料理を食べて「美味しかった」と言うとき、

私たちは料理そのものよりも相手の心遣いへの感謝を伝えています。 こうした小さな言葉の積み重ねが、文化を形成し、共同体感覚を築き上げます。言葉は誰もがアクセスできる社会のインフラです。私たちは日々の経験や考えを言葉に重ねることで、自分自身を大切にし、人生を豊かにしています。自分自身を大切にできる人は、他者の幸せを支える術も知っているのです。

言葉が非言語を伝える力

芥川龍之介の『ハンカチ』では、息子の死を告げられた母親が笑顔を見せつつも、感情を抑えるためにハンカチを震わせています。言葉は時に非言語的な表現と結びつき、微妙な感情や意図を伝える力があります。

また、「月がきれいですね」という言葉が「あなたが好き」という個人的な感情を伝えるように、普遍的で没個性的な表現が、深い個人の感情を呼び覚ますこともあります。このように、言葉を通じて共有する感性を再確認し、相互理解を深めることができます。

経営学的示唆―言葉の力を活用する

経営学の観点から考えると、リーダーは言葉の力を意識的に活用し、曖昧さや含みをうまく使ってメンバーのモチベーションや組織の一体感を高めることが求められます。言葉は単なる伝達手段ではなく、チーム内の文化や価値観を形成し、共有するための重要なインフラです。

言葉の微妙~なニュアンスや非言語的表現を駆使し、適切に相手の心に概念を成立させることで、組織内のコミュニケーションは円滑になり、生産性や創造性を向上させることが可能になるという学びを得ました。

言葉を大切にする人が幸せを掴むように、言葉を大切にする組織は成功を掴むことができるのかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。 皆さんの力に少しでもなれたら幸いです。