皆さん、今週は私が入社3年目くらいの頃に読み、その後の人生を大きく変えてくれた一冊をご紹介したいと思います。
私は会社に入って新卒ですぐ結婚し、学生のそれまでは当然にあったたっぷりの自分の時間というのがなくなり、社会にでて、朝早くから時遅くまで働き、そしてその時間がかかっている仕事も全然うまくいかない ……という、まさに「何もかもうまくいかない」と藻掻き苦しんでいた時期でした。まわりの全てが気にくわなかった時期でもありました。仕事の内容にも納得がいっていなかったです。
このとき私は、過去の失敗をめぐりにめぐっては悔やむことを日課にしていました。
人生の悩みの種を見つけて生きていくというスタンスでいくと、過去を探って悔やんでいくことがとても大事です。過去にはうまくいかずに、失敗したこともあるでしょう。しかもそれを取り戻すことは決してできません。なぜならばそれは過ぎ去ってしまったことだから。
過去の悩みに少し疲れたら、次に、今度は未来の不安を見つけていきます。未来には不安がたくさん待っています。上手くいかなったらどうするかとか、悩みの種は尽きません。そうして、少し飽きたら次はまた過去へ、、、といった感じで人生を生きていくこともできます。当時の私がそうでした。
過去と未来の不安におびえて、そして現在も絶賛うまくいっていないという……過去・現在・未来にわたって「悩みの種」をフルコンプリートして生きるのが当たり前になっていました。
そんな八方塞がりの中、ふと手に取ったのが『道は開ける』でした。 この本を読んだ瞬間、文字通り目からウロコが落ちました。人間関係をどう構築するか、そして何より 「今日を生きる」 ということがどれほど大切か。私にとって学ぶことは、単なる教養ではなく、人生を切り拓くための「生存戦略」そのものであると気づかされた瞬間でした。 あのままの生活が続いていたら、長くは持たなかったでしょう。
「今日一日の仕切り扉を閉める」という発想
この本を読んで最初に目からウロコだったのが、 「今日、一日区切りで生きる」 という考え方です。
過去の重荷を背負い、未来の重荷も同時に背負いながら生きようとするとどんなに強い人でもつぶれてしまう。船の水密扉のように、昨日と明日の扉をしっかり閉めて、「今日」という区画だけで生きることが大切だ、本著ではそう書かれていました。
頭ではわかっていても、実践できていなかったことでした。悩むことが習慣になっていると、「今ここにある自分」よりも「あのときの失敗」や「先の不安」のほうが常にリアル に感じられてしまいます。悩みの中にいる人間にとって、「今日だけに集中する」というのは、実は相当に 意識的な努力 が必要なことなんだと、読んで初めて気づきました。
過去何十年と生きてきた重荷は、今日背負わなくて良いのです。
そう考えると、今の自分がなんと気分が軽くなったことか。 またそれは背負う必要はないという言葉に、当時どれだけ救われたか。今でも鮮明に覚えています。
また自分がいかに「今」を大切に生きていなかったかに気づきました。
ニーバーの祈りとの出会い
この本を読んでいたころ、同じ時期に「ニーバーの祈り」という言葉にも出会いました。
神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。 変えるべきものを変える勇気を、 そして、変えられないものと変えられるものを識別する知恵を与えてください。
カーネギーの教えと、このニーバーの祈りは、私の中でセットになっています。過去は変えられない。未来はコントロールできない。だからこそ、今日の自分にできることに集中する。シンプルですが、とても大事なことです。
実践したい3つの教え
本の中でとくに心に残った教えをいくつか紹介します。
■今日だけは、を意識する 「今日だは愛想よくしよう」 「今日だは幸せに生きよう」 「今日だは一人で静かに生きる時間を30分作ろう。 そして、たまには神様のことについても考えてお祈りしてみよう」
── こういった”今日だけ”の積み重ねが、人生そのものを変えていく。長期的な目標よりも、今日という一日の質を上げることを大切にする姿勢は、当時の自分にとって本当に新鮮でした。
■忙しく過ごせば、悲しみは癒える 本では「人間の脳は一度にひとつのことしか考えられない」という話が出てきます。だから、仕事に打ち込んで心配事を消し去ることができる。これは単なる逃避ではなく、注意の方向を意図的にコントロールするということです。
■夜明けへのあいさつ 私の神棚に飾っている言葉です。
「夜明けへの挨拶」
今日という日に目を向けよう! 昨日は夢にすぎず 明日は予感でしかない
精いっぱいに生きた今日は すべての昨日を幸せな思い出に変え すべての明日を希望の見取り図とする
だから目を開こう、今日に向かって!
夜明けへのあいさつはこれだ。
天国と地獄は紙一重
この本に出会って気づいたことは、自分の人生をひどくしていたのは環境でも人でもなく、自分自身の「悩み方の癖」でした。 よく言われることですが、天国と地獄は紙一重とはよく言ったものです。
過去は変えられません。未来はまだ来ていません。あるのは今日しかない。それだけのごく当たり前ことが、当時の私にとってはまるで目が覚めるような発見でした。
家庭環境や育ち方が、知らず知らずのうちに自分の思考パターンをつくっていることがある。でも、そのパターンに気づきさえすれば、変えることができる。この本はそのことを、たくさんの事例と言葉で教えてくれます。
入社3年目のあのころ、この本に出会っていなかったら、今の自分はなかったと思います。ずっと記憶に残り続けている大切な一冊です。 悩んでいる方にぜひ読んでほしいです。なお、カーネギーのもう一冊の名著『人を動かす』も私にとって欠かせない本で、こちらはまた別の機会に紹介したいと思います。
それでは、今週も良い一週間を!