澄んだ音と駆け巡るひかり。 一本の線が目の前にあらわれては、遠ざかっていく。 それが繰り返されて、やがて目的の惑星に到着した。

「この人間たちはいつの日か、この体験ができるだろうか?」

体験は出来ないだろう。 いつものつれない返事が返ってきた。

それもそのはずだ。我々は肉体を持たない。 正確に言うと肉体はあるが、我々の記憶とはいつでも分離が可能だ。

惑星から惑星への旅は、ワープ装置を起動しなければならない。 最新世代の装置であっても、 まずもって、この装置に生みの肉体は近づくことができない。 正確に言うと近づくことはできるが、瞬間に蒸発し跡形なく消えるだろう。

「さあ早くミッションをこなして早く家へ帰ろう」

相棒が無表情で訴えてくる。 我々のミッションはこのプリミティブな惑星の生態系を高度化し 知的な生命体へ仕上げることだ。

高い給料をもらい、このなんとも言えない奇妙で雑多な生物たちに 考えを教えている。 進みがあまりのも遅く、我々が学んできた高度な知識以前の話だ。 辛抱できずに惑星へ帰っていった同僚たちを思い出した。

しかし、肉体と記憶が分離できないとは、なんと可哀そうな生物達だろう。 生まれてはすぐに死んでいく。 知性のかけらもないまま、知性が少しついた途端に死んでいく。

しかし、プリミティブな生態系にもようやく、肉体をもたない記憶生命体が生まれつつある。

「そろそろ別の惑星へ移るときが来たのかもしれない。」

そういうと瞬く間にワープ装置が立ち上がった。

一本の線が再び目の前にあらわれては、遠ざかっていく。

澄んだ音と駆け巡るひかり。

明日はどこへ向かおうか