Googleフォトの容量、そろそろ限界ではないですか

スマホで写真を撮るのが当たり前になって、気づけばGoogleフォトの無料枠15GBはあっという間に埋まります。家族の写真や動画が増えれば、100GB、200GBと課金プランを上げていくことになります。

月数百円なら、と思って払い続けるうちに気づくのは、「自分で撮った自分の写真なのに、預けているだけ」 という感覚です。サービスの仕様変更も、値上げも、こちら側からはどうにもできません。

Synology NASを持っているなら、この状況は変えられます。純正アプリ 「Synology Photos」 を使えば、自分のNASの中にGoogleフォトとほぼ同じ体験のフォトライブラリを、追加費用ゼロで構築できます。

この記事では、NAS本体のセットアップが済んでいる前提で、Synology Photosの実践的な使い方に絞って解説します。

Synology NAS DS223j 完全活用ガイド|自宅サーバーで知的生活を豊かにする DS223jの初期設定、HDDの選び方、RAID構成、セキュリティ設定など、NAS導入そのものについてはこちらにまとめています。


最初に理解すべき「個人スペース」と「共有スペース」

Synology Photosでいちばん最初につまずくのが、写真の置き場所が 2種類ある ことです。ここを理解しないまま使い始めると、「バックアップしたはずの写真が見つからない」「家族に見せたくない写真が共有されていた」といった事故につながります。

個人スペース共有スペース
実体のフォルダ/homes/<ユーザー名>/Photos/photo
見られる人本人のみ権限を与えたユーザー全員
主な用途自分のスマホの自動バックアップ家族で共有する思い出、旅行の写真
管理者の扱い管理者でも他人の中身は見られない管理者が権限を設定

おすすめの使い分けはシンプルです。

  • スマホの自動バックアップ先 → 個人スペース(まず全部ここに入れる)
  • 家族に見せたいもの → 共有スペースに移動、またはアルバムで共有

「全部いったん個人スペースに入れて、見せたいものだけ外に出す」と決めておくと、事故が起きません。


スマホの自動バックアップを設定する

Synology Photosの本命機能です。スマホアプリ(iOS / Android とも無料)を入れて、バックアップを有効にします。

設定するときのポイントは3つです。

  1. バックアップ先を「個人スペース」にする — 前述の理由です
  2. 「Wi-Fi接続時のみ」を有効にする — モバイル回線で動画を上げ始めると通信量が悲惨なことになります
  3. 「充電中のみ」も併用する — 特にAndroidは、バックグラウンドでの大量アップロードでバッテリーを持っていかれます

初回は写真が数千枚あると数時間〜半日かかります。寝る前にWi-Fi+充電状態で放置 しておくのが結局いちばん速いです。

iPhoneユーザーが引っかかるHEIC問題

iPhoneの標準形式であるHEIC(拡張子 .heic)は、環境によってサムネイルやプレビューが表示されないことがあります。写真自体はちゃんとNASに保存されているのに、一覧が真っ白になるので焦ります。

これはSynology側のプレビュー生成の問題で、対処法は公式のナレッジセンターにまとまっています。

どうしても解決しない場合は、iPhoneの「設定 → カメラ → フォーマット」を 「互換性優先」(JPEG) に変えてしまうのが確実です。画質より確実性を取る、という割り切りです。


顔認識はDS223jでも動く。ただし「遅い」

Synology Photosには、Googleフォトと同じように 顔認識(人物)被写体認識 があります。「人物」アルバムで家族ごとに写真がまとまり、「この人の写真だけ見る」ができるあの機能です。

エントリーモデルのDS223jで使えるのか、というのが気になるところですが、公式の製品ページに顔認識対応が明記されています。使えます。

ただし、正直に書いておきたい注意点があります。DS223jのCPUは Realtek RTD1619B というARMプロセッサ で、Intel Celeron系を積んだ上位機と比べるとAI推論の速度が明確に劣ります。搭載メモリも1GBです。

そのため、

  • 数千枚〜1万枚規模のライブラリだと、初回のインデックス作成に数日かかることがある
  • インデックス中はNAS全体のレスポンスが重くなる
  • 同時にObsidianの同期や動画の変換を走らせると、さらに厳しい

という現実があります。「取り込んだ直後に完璧を求めず、1週間くらい放っておく」 のが正解です。一度インデックスが終われば、以降の増分は気にならなくなります。

なお、顔認識・被写体認識の対応状況はモデルごとに異なります。DS223j以外をお使いの方は公式の一覧で確認してください。


アルバムと共有:ここがクラウドより快適な部分

写真が入ったら、次はアルバムです。Synology Photosのアルバムには2種類あります。

  • 通常のアルバム:手動で写真を選んで作る
  • 条件付きアルバム:「タグ」「撮影日」「人物」などの条件を指定すると、条件に合う写真が自動で集まり続ける

後者が便利で、たとえば「人物=子ども」かつ「撮影日=今年」という条件付きアルバムを作っておけば、以降は何もしなくても更新され続けます。

共有も強力です。アルバムから共有リンクを発行すれば、相手はアプリもアカウントも不要でブラウザから見られます。リンクには パスワードと有効期限 を設定できるので、「一時的に親戚に見せる」といった使い方が安全にできます。

「写真リクエスト」機能を使えば、逆に相手からアップロードしてもらうこともできます。結婚式や運動会で、参加者に撮った写真を投げ込んでもらう、といった用途に向いています。


ここが一番大事:NASは「バックアップ」ではない

これだけは書いておきたい、というポイントです。

Googleフォトをやめて写真をNASに集約すると、「大切な写真の唯一のコピーが、自宅の箱1つの中にある」 状態になります。これはクラウドを使っていたときより危険です。

「RAID 1にしてあるから大丈夫」と思うかもしれませんが、RAID はバックアップではありません。RAID 1が守ってくれるのはHDD1台の物理故障だけです。

  • 誤ってアルバムごと削除した → 両方のHDDから消える
  • 落雷でNAS本体が壊れた → 2台とも道連れ
  • 火災・水害・盗難 → 全滅
  • ランサムウェアに暗号化された → 両方暗号化される

だから、いわゆる 3-2-1ルール(データは3つ、媒体は2種類、うち1つは別の場所に)が必要になります。最低限、次のどちらかはやっておくべきです。

  1. Hyper Backup で外付けUSB HDDへ — DS223jのUSBポートに挿すだけ。いちばん安上がり
  2. Hyper Backup でクラウドへ — C2 Storage や他社クラウドへ暗号化して退避。自宅ごとやられても残る

理想は両方です。写真の自前管理は、ここまでやって初めて「クラウドより安全」になります。ここを飛ばすと、単に 月額を払わなくなっただけの、より脆弱な状態 に移行したことになってしまいます。


つまずきポイント早見表

症状原因対処
写真が見つからない個人スペースと共有スペースの取り違えどちらに入れたか確認。運用ルールを決める
サムネイルが真っ白HEIC/HEVCのプレビュー生成公式KBを参照。またはiPhone側をJPEG設定に
人物アルバムができないインデックス未完了数日放置。DS223jはARMなので遅い
NAS全体が重いインデックスと他タスクの同時実行夜間に寄せる。同時実行を避ける
外出先から見たい外部アクセス未設定QuickConnectを使う。安易なポート開放は避ける

まとめ

Synology Photosは、「Googleフォトの機能をだいたい自分の手元で再現できる」という点で、NASを導入する動機として十分に強いアプリだと思います。

要点を3つに絞ると、

  1. 個人スペースと共有スペースの使い分けを最初に決める
  2. DS223jでも顔認識は使える。ただし初回は気長に待つ
  3. NASに集めたら、必ずもう1系統のバックアップを取る

この3つさえ押さえておけば、あとは撮りためた写真が自分の資産として手元に積み上がっていきます。

写真だけでなく、メモや知識も同じ考え方で自分の手元に集約できます。そちらに興味がある方はこちらもどうぞ。

ObsidianとSynology NASの連携|知識を資産に変えるメモ環境の作り方 ObsidianとSynology Driveを組み合わせて、追加費用ゼロで同期できるメモ環境を作る方法を解説しています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 それでは、また来週。