この週末、家族で久しぶりにマクドナルドに行きました。
小学校5年の長男が、ネット動画を見て「どうしても食べたい」と言っていた「マックポーク」が目当てです。以前の人気だったメニューが手頃な価格で復活したようで、長男は美味しいと嬉しそうに食べていました。
私としては、マクドナルドといえば「ビーフ100%」にあると考えていましたがでは、ハンバーガーの王者であるマクドナルドが、なぜあえて本丸である「ビーフ」から外れた「ポーク」を、しかも最安値級で提供するのでしょうか?今回はこのケーススタディを、クレイトン・クリステンセン教授の著書『イノベーションへの解』の視点から考察してみたいと思います。
- 「ローエンド型破壊」の視点
本著では、既存の製品が高性能になりすぎて、顧客の本来のニーズを追い越してしまう現象を「オーバーシューティング」と呼んでいます。
市場には、「リッチで分厚いビーフパティが食べたい」という層ばかりではありません。中には「手軽に、そこそこの満足感が得られれば十分」という、過剰な性能を提供されている(オーバーサーブされている)顧客層が一定数存在します。 マックポークは、まさにこうした「ローエンド(低価格・普及帯)」の顧客に対し、必要十分な品質を適切なコスト構造で提供する戦略と言えます。競合と最高品質を競って疲弊するのではなく、顧客が本当に求めている「必要十分な価値」を見極めることが、ローエンド市場を制する鍵となります。
- 「無消費」を味方につける:新市場型破壊
マックポークが持つもう一つの側面は、「新市場型破壊」へのアプローチです。 例えば「豚肉の方が好き」「ハンバーガーチェーンのメニューは高すぎる」「牛肉は重すぎる」といった理由で、そもそもマクドナルドを選択肢に入れていなかった「無消費者」層が存在します。
クリステンセン教授は著書の中で、「本当の破壊者は、既存のライバルと戦うのではなく消費が行われていない状況(無消費)と戦うのだ」と述べています。 既存のレッドオーシャンで他社とシェアを奪い合うのではなく、まだ誰も手をつけていない「無消費」という領域にアプローチし、新たな市場を切り拓く。これこそが、新市場型イノベーションの要諦です。
- 本事例から学ぶ、ビジネスへの応用 今回のマックポークの事例と『イノベーションへの解』の理論から、私たちの実務に活かせるアプローチを3点に整理しました。
市場構造を俯瞰する: 自社の製品やサービスが「オーバーシューティング」を起こしていないか、あるいは市場に「無消費」が放置されていないか。現状の市場構造を一段高い視点から客観的に把握する。
非破壊的なアプローチを探る: 競合他社と真正面から機能競争(破壊し合い)をするのではなく、競争を回避しつつ、新たな顧客層に新しい価値を提供する「非破壊的創造」の道を模索する。
実務と理論の循環: 経営理論を単なる知識として終わらせず、今回のマクドナルドのような日常の事象や、自身のビジネス現場(実務)に当てはめて仮説検証を繰り返す。
最後に
日常の些細な消費行動の裏にも、企業の緻密な戦略が隠されていて面白いですね。自分が関係している市場とは全く異なる市場だからこそ学べる戦略もあるのかと思います。ケーススタディをしていきながら、自身の学びを深めていきたいと思いました。
それではみなさん、良い一週間を。