こんばんは。 企業が成功や衰退する原因の一つに、「イノベーションのジレンマ」という概念があります。

これは、優良企業ほど変化に対応できず、むしろ変化を拒むようになるという逆説的な現象を指します。成功体験が新しい挑戦を阻むのです。

今日は有名なクリステンセンの著書「イノベーションのジレンマ」に書いてあったわかりやすかった1事例を取り上げてみたいと思います。

ホンダが見出した勝機 スーパーカブの事例

イノベーションのジレンマで事例の一つとして取り上げてあるのが、 ホンダのスーパーカブのアメリカ市場での成功です。

もともとスーパーカブは、日本の戦後復興期に、狭く雑多な都市で商品を運ぶ小規模事業者のために開発された、小型で頑丈な原動機付き自転車でした。 軽く、操作も簡単。小さなエンジンに、連続的な技術革新が詰め込まれていました。日本では最先端の技術が詰め込まれ持続的技術の結晶といってい良いでしょう。日本においては当時はハイエンド市場に該当していたものと考えます。

そんな中、ホンダはアメリカへの進出を試みました。ホンダがアメリカ進出を試みた当初は、「アメリカ市場では大型のバイクが主流」という現地での調査した結果に従い、大型バイクを開発し投入しました。ところが売れず、思うような結果が出ませんでした。それもそのはずです。アメリカにはハーレーなどの大きな長距離に適した質の良いカッコいいバイクがたくさんあったからです、

失意のなか、アメリカに出向いて頑張っていた技術者たちは気晴らしにスーパーカブでアメリカ郊外を走り始めます。アメリカの長距離は走れませんが、短距離の性能は抜群でした。それを見た学生や若者たちがあのバイクは何だろうか?「自分も乗りたい!」と興味を持ち、やがて「ホンダに乗る素晴らしい人々(You meet the nicest people on a Honda)」という学生の広告レポートが誕生します。これが予想外の反響を呼び、オフロード市場でスーパーカブが爆発的にヒットしたのです。

「スーパーカブがアメリカを変えた」ホンダのHPより

ホンダができて、ハーレーにはできなかったこと

このとき、ホンダが起こしたのはまさにアメリカ市場における「ローエンド破壊」でした。

持続的イノベーションで培った日本のハイエンド市場から持って行った技術がアメリカでローエンド破壊を起こしたと言えると考えています。

ホンダのスーパーカブは、アメリカの既存バイク市場(ハーレーなどの大型バイク)とは全く異なる、小さなニーズから始まりました。安くて、軽くて、気軽に乗れるという新たな価値を提供することで、まったく新しい顧客層を開拓したのです。

一方、既存のバイクメーカーであるハーレーは、ローエンド市場に参入しようとしたものの、ディーラーからの反発を受けて断念します。理由は明快で、ディーラーにとっては高価格・高利益のバイクの方が都合が良かったからです。

このように、「顧客の声」や「現在の収益構造」に従うがゆえに、新しい市場への対応が遅れてしまう。まさにイノベーションのジレンマの分かりやすい事例だと思いました。

破壊的技術を活かすには、何が必要か?

重要なのは、破壊的技術は最初から見栄えがしないという点です。

小さな市場、低い利益率、性能も既存技術に劣る――。 だからこそ、既存企業は「もう少し市場が大きくなってから」と参入を控えがちになります。ところが、その「もう少し」の間に、新興企業が市場を独占してしまうのです。

実際、多くの破壊的技術は、大企業の技術者がこっそり開発していたケースが多く、しかしその価値が社内で評価されなかったために、外部の新興企業によって商品化されました(※クリステンセンの分析より)。

既存の組織には「できることとできないこと」があります。 それは「資源(Resources)」「プロセス(Processes)」「価値基準(Values)」という3つの要素から構成され、組織の“行動限界”を定義しているのです。

■まとめ:成功の先にこそ罠がある

破壊的技術は、最初は儲からない市場から始まる

成功している企業ほど、新しい市場に賭ける余裕を失う

持続的イノベーションに慣れた企業ほど、破壊的技術に弱い

だからこそ、未知の市場を受け入れ、小さな成功を育てる「別組織」や「探索チーム」が必要なのです。ホンダのように、ローエンド破壊を起こすためには現場での偶然や遊び心による、実は深い顧客洞察に基づいた、新しい訴求の仕方や仕組みがイノベーションの突破口になるかもしれません。

ここまで読んでいただきありがとうございました。 皆さまの少しでも力になれれば幸いです。