皆さんは、日常的に愛用しているものはありますか?

私は、毎日コーヒーを飲みますが、最近はコストコで購入できる「HAMAYAのドリップコーヒー」をオフィスでよく飲んでいます。

なぜこれなのかというと、コンビニのコーヒーより確実に美味しいからです。しかも専門店よりリーズナブルで何より、パックが大量に入っていて気兼ねなく飲めます。毎日2杯飲みますので大助かりです。

私は朝起きて少し運動し、通勤電車ではKindleの読み上げ機能で耳で読書。通勤時には20分程度は歩きます。会社に着く頃にはいい感じに脳が回転できる状態にしています。 そこで、コーヒーを淹れて 香りを楽しみながらメールチェックをし、今日やるべきこと(ToDo)を整理します。

なので私にとってコーヒー一杯は単なる水分補給ではなく、「一日をよりよく組み立てるための儀式」に近いような感じになっているのではと思いました。片頭痛持ちの私にとって、カフェインは1日を乗り切るための頼もしい味方でもあります。

・・さて、前置きが長くなりましたが、それでは、数あるコーヒーの中で、なぜ私はこの商品を「選んだ」のでしょうか? 今日は、近代マーケティングの父、フィリップ・コトラーの教えから、この「選ばれる理由」を紐解いていきましょう。

■コトラーの「STP」:戦わずして勝つ方法

ドラッカーが「マーケティングの理想は、販売を不要にすることだ」と言ったのに対し、コトラーはそのための具体的な手順(プロセス)を示しました。 それが有名な「STP分析」です。

これも中学英語レベルのイメージで捉えると、とてもシンプルです。

S: Segmentation (Slice the cake)

市場全体(ホールケーキ)を、とある切り口で切り分けること。「20代女性」「朝は忙しい人」「安さ重視の人」など。

T: Targeting (Aim at the target)

切り分けた中から、「この人たちにサービスを届ける!」と狙いを定めること。

P: Positioning (Be unique)

その人たちの頭の中に、「〇〇といえばあなた!」という独自の旗を立てること。

要するに、「誰に(Targeting)、どのような価値(Positioning)を提供するか」を決めることです。

■ケーススタディ

さて、では私のコーヒー選びをこのSTPで分析してみましょう。

ケース1:コストコのHAMAYAコーヒー 彼らは私のような顧客を完璧にターゲットにしています。

Target: 「味にはこだわりたいが、毎日飲むのでコストは抑えたい」「忙しいオフィスワーカー」

Positioning: 「最高のコストパフォーマンスで提供される、日常の贅沢」

もし「世界最高峰の希少豆」のようなことを売りにしていたら、私は毎日は飲めません。逆に「安ければ何でもいい」という商品なら、優雅な朝の気分にはマッチしません。ターゲットを明確 にし、このちょうどいい味・値段・パッケージングができているからこそ、私の生活に欠かせないパーツになっているのです。

ケース2:旅先で買う「ご当地ドリップコーヒー」 さてドリップコーヒーでもうひとつケースを考えています。以前に、淡路島に行った際、少し割高なブレンドコーヒーを買うことがありました。 味はもちろん美味しいですが、HAMAYAと戦う場所(ポジション)が全く違います。

Target: 「旅の余韻に浸りたい観光客」

Positioning: 「あの日の風景や風の匂いを思い出させるスイッチ」

このようなご当地ドリップコーヒーは、単にコーヒーを売っているのではなく、「楽しかった体験の記憶」を売っているのではないでしょうか。 家でそれを飲んだ時、ふと「またあのお店に行きたいな」と思う。そう、あれは再訪を促すための招待状のような効果もあるように感じました。

まとめ:選択することは、捨てること

コトラーの名言:

“Marketing is the art of deciding what not to do.” (マーケティングとは、何をしないかを決めることだ)

HAMAYAのコーヒーは「希少性」を捨てて「日常の質」を取りました。 ご当地コーヒーは「安さ」を捨てて「旅の記憶」を取りました。 もう一つコトラーの大切な言葉があります。

“Marketing is not the art of finding clever ways to dispose of what you make. It is the art of creating genuine customer value.” (マーケティングとは、作ったものを処分する賢い方法を見つけることではない。真の顧客価値を創造する技術である。)

つくったものを処分する活動に追われていないでしょうか?

あれもこれもと欲張って「全て」を手に入れようとすると、結局は誰の心にも響かない、中途半端なものになってしまいます。 勇気を持って何かを「しない」と決めること。コトラーのマーケティングは、小手先の売り込みテクニックとは対極にあるものでした。

毎日自分が選んでいるものにこそ、真のマーケティングの事例がありそうですね

来週は、顧客の「真の価値」とはそもそも何なのか? マネジメントの父、ピーター・ドラッカーの視点から「顧客の創造」について掘り下げたいと思います。

それでは、良い一週間を!