こんにちは!

今週も知的な探求を深めていけたら嬉しいです。

さて、今週もテーマは引き続き書籍『破壊なき市場創造の時代』から、 「非破壊的創造」です。 「大きな話で、自分には関係ないかも…」と感じている人もいるかもしれません。そんなことはありません。今回は、私たちの夏の必需品ともいえる、KINCHOの「シンカトリ」を例に、考えたいと思います。

「蚊取り」市場にあった、”当たり前の不便”

「シンカトリ」が登場する前、私たちの「蚊取り」の選択肢は何だったでしょうか?

1.蚊取り線香: 火を使う。安全面が気になる。煙や独特のニオイが苦手な人もいる

2.電気式蚊取り器: 電気を使う。コンセントが必要なので置く場所が限られてしまう。つけっぱなしによる電気代も少し気になる。

これらは長年使われてきた優れた製品ですが、同時に私たちは「火や電気を使うのは当たり前」「場所が制限されるのは仕方ない」という”当たり前の不便”を受け入れていました。

『破壊なき市場創造の時代』の言葉を借りれば、 ここには「解決されていない、あるいは長年放置されてきた問題」があったのです。そして、この”当たり前の不便”を理由に、 「特定の場所や状況で蚊取り器の使用を諦めていた「無消費者」が存在」していました。

シンカトリ(KINCHOの製品紹介より) シンカトリは、何を「創造」したのか?

「シンカトリ」は、この”当たり前の不便”という業界の暗黙の前提に、見事な解決策を提示しました。

前提①:「蚊取りには火か電気が必要だ」

→創造: KINCHOは独自の「エアフローリリース技術」により、電源不要で薬剤を拡散させることに成功しました。これにより、「コンセントがない玄関」や「火を使いたくない子供部屋」など、これまで蚊取りを諦めていた場所に、新しい市場を創造したのです。

前提②:「蚊取りは安全面で少し気を使うものだ」

→創造:火も電気(熱)も使わないため、火事の心配や、お子様・ペットがいるご家庭の「やけどしたらどうしよう」という不安を取り除きました。これにより、「安全性」という新しい価値を提供し、安心を求める層の心を掴みました。

さらに注目すべきは、シンカトリは蚊取り線香や電気式蚊取り器の市場を「破壊」して奪い取ったわけではない、という点です。

屋外では蚊取り線香、広いリビングでは電気式、そして玄関や子供部屋、寝室にはシンカトリ、というように、 ユーザーはシーンに応じて製品を使い分けることができます。

シンカトリは、既存市場と争うのではなく、「どこにでも置けて、安全で、手間いらず」という、まったく新しい価値を持つ非破壊的な市場を創り出した、非常に優れたケーススタディだと思いました。

私たちが学べる「新しい価値」の見つけ方

このシンカトリの事例から、私たちは何を学べるでしょうか。

STEP1.「仕方ない」と諦めている不便を探す: 日常や仕事の中で、多くの人が「こういうものだよね」と諦めている不便さや制約はありませんか?そこに新しい価値の種が眠っていると思われます。

STEP2. 制約を「取り除く」ことで価値を創造する: 新しい機能を「足す」ことだけがイノベーションではありません。「火や電気を使わない」というように、既存の製品の「制約を取り除く」ことが、全く新しい市場を生み出すことがあります。

STEP3. 「無消費者」に目を向ける: 既存のサービスを使っていない人は、なぜ使わないのでしょうか?彼らが抱える不満や不安を解消することができれば、それは巨大なブルー・オーシャン(競争のない市場)への入り口となる。

まとめ

今回は、私たちの生活に身近な「シンカトリ」を例に、「非破壊的創造」の考え方を探ってみました。特別な技術や奇抜なアイデアだけでなく、人々の小さな「不便」や「不安」に寄り添い、それを解消することから、大きなイノベーションは生まれるのかもしれません。

この記事が皆さまの何かのお役に立てましたら幸いです。