最近、Kindleの読み上げ機能にはまっています。 私が電車通勤に使っている時間は、往復で50分。 この時間を読書の時間に割り当てることができるのはとてもお得だと考えています。

これまでは本は絶対に紙派だったのですが、以前に記事にも書きましたObsidianというをメモツールを使うようになってからは、本も電子派に変わりました。Kindleでハイライトされた部分を、そのままメモとして残すことが出来るからです。

今日は、紙の本だと読みにくい、少し難しい本を読み上げ機能を使うと割とわかりやすかったので取り上げてみました。

チャン・キムとレネ・モボルニュの『破壊なき市場創造の時代』を読んで

この本を読んで改めて感じたのは、「競争ではなく、貢献から始まる」という視点の重要性です。

MBAでも学びましたが、イノベーションの議論といえば「ディスラプション(破壊的イノベーション)」が主流です。

新しい技術が古い産業を破壊し、新たな価値を生む。その過程は“創造的破壊”として語られ、成功物語として美化されてきました。

しかし、本著ではチャン・キムはその裏に潜む「痛み」に目を向けます。 既存企業の崩壊、雇用喪失、地域社会の荒廃。創造的破壊は、確かに成長の原動力でしたが、同時に多くの社会的コストを伴うものになっています。

では「破壊なき創造」は本当に実現可能か?

本著の「非ディスラプティブな創造(Non-Disruptive Creation)」とは、既存のプレイヤーを打ち倒すことなく、新たな市場を生み出すアプローチです。

それは“敵を倒す”のではなく、“新しい価値を社会に加える”という発想。

たとえば有名なセサミストリート、ポスト・イットが、破壊なき創造に分類されると書かれています。 どれも既存産業を破壊したわけではなく、これまで存在しなかった「社会的課題」や「潜在的ニーズ」に応えたことで、新しい産業を築き上げました。

ブルー・オーシャン戦略

ブルー・オーシャン戦略は、「競争のない市場を創る」という点で有名で多く取り上げられています。 本著の非ディスラプティブな創造は、そのさらに一歩先にあるのではないかと思います。

ブルー・オーシャンが「既存業界の境界を越える」戦略だとすれば、非ディスラプティブな創造は「そもそも境界の外に新しい意味を生み出す」試み。

つまり、競争の回避ではなく、「貢献の発見」こそが出発点となると解釈しています。

そもそも経営とは?

私はこの考え方に、経営の本質があるように思います。 MBAで学んだ経営戦略論でも、理念は何か?最終的に問われるのは「いかにして社会に価値を提供できるか?」という点です。

企業が持続的に成長するには、他者を打ち負かすのではなく、自らの強みを通じて社会にどう貢献できるかを設計することが欠かせません。

つまり経営とは「貢献方法の設計」であると言えるのかもしれません。

本著の非ディスラプティブな創造は、まさにこの“貢献の設計”を体系化しようとした理論だと感じます。 そこでは、破壊ではなく「共生」と「価値の追加」がキーワードになります。

終わりに ― 見えないチャンスを見つける問い

チャン・キムは本書の中でこう問いかけます。

「もしディスラプションで頭がいっぱいなら、非ディスラプティブな機会を見逃していないか?」

この言葉は、私自身の仕事にも深く響きました。 立場的に弱い立場の人たちに向けた企画開発という領域では、ディスラプティブな技術革新よりも、むしろ人や現場の課題に寄り添いながら、社会に新しい価値を“加える”創造が求められています。

イノベーションとは、誰かを倒すことではなく、誰かの「できなかったことをできるようにする」こと。誰かの自立を支援するような考え方につなげることができたら面白いなと思いました。

この記事が何かの参考になれば幸いです。