我が家では、土曜と日曜の晩御飯は私が担当することになっています。

最近のブームは、子供たち(一番は私かもしれない)が好きなミートソースパスタです。ハンバーグを作るところから始まるこだわりのミートソースです。ペンネや蝶々型のパスタ(ファルファッレと言うらしいですね)など、その日の気分でパスタを選んで作っています。

チョッパーを使って野菜をみじん切りにしてもらったり、茹で加減を一緒に確認したり。皆でわいわいと言いながら作り上げる晩御飯は、一人で作るよりも何倍も楽しいものです。 子供たちの成長を感じながら、ふと思いました。キッチンという環境は同じでも、子供たちは少しずつ大きくなり、できることが増え、味の好みも変わっていく。一定な「環境」は決してなく、少しずつ、こうして日常が確実に変わっていくものだと感じています。

今日は、そんな「移りゆく環境」を楽しみながら生き抜くために必要な、経営学のダイナミックケイパビリティの視点をテーマに勉強しながら書いてみたいと思います。

■前回までの振り返り:完璧な「レシピ」と「チームワーク」

前回このブログでは、組織論の歴史を少しずつ紐解いてきました。

https://note.com/p3_vp/n/n462242610215

科学的管理法(テイラー主義): いかに効率よく作業するか。例えば、パスタ作りで言えば「チョッパーを使って野菜を切る時間を短縮する」ような、 マニュアルと効率の世界 です。

人間関係論(メイヨーなど): 人間はロボットじゃない。人の感情やチームワークを重視する。「みんなで楽しく作ったほうが美味しいし、やる気も出るよね」という 人間関係大事な世界  です。

この2つの考え方を理解することは、組織を運営する上で非常に大事です。自分の考えが偏っていないか?時代遅れな経営をしていないか知ることができるからです。

それで「効率よく」かつ「仲良く」仕事ができれば、最強のように思えますよね。 でも、これには実は一落とし穴がひそんでおります。 「作るメニュー(環境)が変わらないこと」 が大前提になっていることです。

■環境が変わってしまう時

以前ブログでも触れた「氷屋さん」が良い事例だと思いました。

https://note.com/p3_vp/n/n52b01144bf65

かつて1800年代、氷屋さんは山から切り出した天然の氷を売っていました。 彼らは経営努力として、「馬車を改良して、より速く、溶けないように運ぶ(効率化)」ことや、「従業員一丸となって頑張る(人間関係)」ことに力を注ぎました。

しかし、時代は変わり「製氷機(機械で作る氷)」が登場します。 安くて大量生産できる氷が出回ったとき、どれだけ馬車が速くても、どれだけチームワークが良くても、天然氷のビジネスモデルそのものが時代に合わなくなってしまったのです。自分たちの方法を変化できずにつぶれてしまった氷屋さんがたくさんありました。

私たちも今のやり方を効率よく、周りと人間関係も良く、「今の仕事のやり方」を極めることだけに集中していると、気づいた時には「氷屋さん」と同じ状況になっているかもしれません。 そして、時代遅れの経営者になっているリスクがあります。

■「ダイナミック・ケイパビリティ」の概念

そこで経営学の分野で注目されているのが 「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」 という概念です。

ちょっと難しそうな名前ですが、平たく言えば「環境の変化に合わせて、自分たち自身を変身させる能力」のことです。

これまでの組織論(テイラーやメイヨー)が「与えられた課題を上手にこなす能力(オーディナリー・ケイパビリティ)」だとしたら、 ダイナミック・ケイパビリティは、 「課題そのものが変わったことを察知し、ルールを書き換える能力」です。

パスタ作りで例えるなら、 「今日は暑いから、ミートソースじゃなくて冷製パスタにしようか?」 「子供が野菜嫌いになったから、メニューをカレーに変えようか?」 と、状況に合わせて柔軟にゴールを変更できる力のことですね。 (そういえば我が家では2ヵ月くらいミートソースが続いているような・・)

この能力には、大きく分けて3つの要素があると言われています。

感知(Sensing): 環境の変化や脅威を感じ取る。

捕捉(Seizing): 新しい機会を捉える。

変容(Transforming): 組織や資源を再構成する。

これについては、また私自身の勉強が進んだら、詳しく掘り下げてみたいと思います。

おわりに:しなやかに生きるために

効率も大事でしょう。人間関係ももちろん大事です。人間の悩みの100%は人間関係ですから。でも、それらが通用しないほど世の中の変化は速くなっています。

「昨日の正解は、今日の正解ではないかもしれない」

そう思うと少し怖い気もしますが、逆に言えば、私たちはいつでも変わることができるということです。 ダイナミック・ケイパビリティは、企業だけでなく、私たちの人生(人的資本)にとっても、今求められる大切な視点ではないでしょうか。

一つのやり方に固執せず、変化の兆しを感じたら、しなやかに自分を変えていく。 そんな風に、移りゆく環境さえも楽しみながら、明日からの1週間も過ごしていきたいですね。

本日は以上です。この記事が誰かの力になりましたら幸いです。